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役員のなり手不足を考える

今、「役員のなり手不足」という問題に直面している管理組合が多くあります。この問題は管理組合の活動に影響を与える重大なものであり、できる限りの対策を打っていきたいところ。では、なぜこの問題が起きるのか、そしてどのような対策を施せばいいのかということについてご説明していきます。

「役員のなり手不足」は時代の流れによって起こっている

まず、役員のなり手不足はなぜ起こっているのかということから知っておきましょう。役員不足は、主に以下の4つに因るものだと考えられます。

(1)居住者の高齢化

日本全体の高齢化に伴い、マンションの住民も高齢化が進んでいます。年齢を重ねるにつれて役員としての活動に取り組むのが厳しくなり、役員を辞退する人が増えているようです。

(2)賃貸化の進行

昨今、分譲マンションを賃貸として貸し出す人が増えています。そうすると、区分所有者が減る、つまり役員のなり手の母数が減っていることも原因の1つとしてあります。

(3)コミュニティ意識の欠如や無関心層の増加

近年は人々のコミュニティ意識の低下が叫ばれる時代です。それはマンションにおいても同様で、同じマンションに暮らしていても他の人との関わりを避けようと考える、もしくはそもそもマンション管理に関心がないという人が増えていることも大きな原因です。

(4)マンション管理の高度化

近代化、高層化したマンションが増えている今、それだけ管理組合の仕事も高度化しています。また、防犯や防災等、マンションを管理していくためには様々な知識が必要とされるため、役員になることを避ける人も増えています。

このように、時代の流れに沿って、役員不足が叫ばれる状況に陥っていると考えられます。

主な役員の選任方法は「輪番制」と「立候補制」

そもそも管理組合の役員はどのように選任されるか、ご存知でしょうか。主な方法は以下の2つです。

輪番制

役員として従事する期間を設定し、期間が過ぎたら新たな役員を選任していく方法です。
多くの管理組合では、1年任期で任期終了後は全員改選する形、もしくは任期を2年とし、任期が来たら半数ずつ交代していくという形をとっているようです。
多くの組合員が役員になるので不公平感が少なくなる一方で、やりたくないのに役員になる場合、管理組合の活動が消極的になる可能性もあります。

立候補制

自ら役員をやりたいという人が役員に就任する方法です。
熱意のある組合員が役員になればそれだけ管理組合の活動が活性化することが期待できますが、その一方で、役員の固定化につながる可能性もあります。

いずれの方法もメリットとデメリットがありますが、この2つは併用していくことが可能なので、役員の選任方法を検討したい場合、マンションの現状と照らし合わせて検討していくようにしましょう。

役員のなり手不足の対策は?

では、役員のなり手不足にどう対応していくべきか。まずは、上記したように選任方法そのものを見直してみましょう。さらに、役員には報酬を支払うこともできますので、現在報酬を支払っていない場合は、制度の導入を検討してもいいでしょう(「役員報酬制度導入の手順」へリンク)。

また、役員のなり手が少ないのは、役員の資格が組合員のみに限定されているからかもしれません。管理規約を改正することで、役員資格を非組合員(居住する組合人の家族や、賃借人など)にも役員資格を与えることもできます。各組合員にアンケートを取ってみて、こうしたことが可能か否かを調査してみるのも効果的です。

それでも役員のなり手が少ない場合、外部の第三者に委託する(第三者管理方式)ということも可能です。相応の費用は支払うことになりますが、外部の専門家に役員になってもらえれば、専門知識や管理のノウハウなどを学ぶことができるので、管理組合の活性化には大いに役立つでしょう。

いずれにせよ、管理組合をスムーズに運営していくためには組合員の協力が不可欠ですから、まずは理事会や総会の場でしっかりと話し合ってから今後の対策を決めていくべきだと言えます。