事例紹介

「わからない」を「わかった」に変える 大規模修繕ワークショップ

建設から10年以上が経過した埼玉県某所のタワーマンションでは、現在、第1回目の大規模修繕に向けて準備を進めています。しかし長期修繕委員会の間では、計画の立案を進める中で「多額の修繕積立金を支出するので、工事に対する納得感を得たい」「より良い修繕にするために、第三者の専門家からの意見をもらいたい」という考えが生まれ、彩の国マンション管理センター(以下、彩管センター)にご相談いただきました。

このご相談に対して、彩管センターでは、大規模修繕準備のためのワークショップ開催を提案。大規模修繕工事に関する理解を深めることを狙いました。大規模修繕の準備においてワークショップを行うことはあまりなじみのない方が多いと思います。そこで今回は、彩管センター理事の近藤と、ワークショップを受講された修繕委員会の皆さんとの対談を通して、「大規模修繕のワークショップ」の内容についてご紹介します。

漠然とした不安を具体的なものにするために

kondo近藤:今回私がワークショップの開催を提案したのは、皆さんが大規模修繕に対して抱えていた漠然とした不安を顕在化させ、その後の議論をしっかりと行うための布石を打つことが目的でした。実際、私がワークショップを提案したとき、皆さんはどう感じましたか?

sSさま:もともと大規模修繕に対して具体的な不安というものはありませんでした。ただ、近藤さんに入ってもらうまでは、管理会社と大規模修繕について話をしていましたが、なかなか全体像が見えていなかったんです。本当にこのまま進めてしまっていいんだろうかというもやもやした思いはありました。

その後、近藤さんに入ってもらい、ワークショップという形で改めて大規模修繕を見直すことができましたし、自分たちが不安に思っていることが具体的になった。これは非常に有意義なことだったと感じています。

kKさま:Sさんが言ったように、具体的ではなかったものの、漠然とした不安を持った状態で大規模修繕の準備を進めていました。しかし、近藤さんと話をしていくなかで、大規模修繕に関する知識を身につけて、管理会社が言うことに対して、そのメリット・デメリットを自分たちで判断できるようにならなくてはいけないという思いが強くなっていったと思います。

「いい会社を紹介する」ではなく「いい情報を紹介する」

oOさま:ただ、ワークショップを行う前に、単なる宣伝になってしまわないだろうかという懸念がありました。実は、彩管センターさんがワークショップを行ってくれる前に、管理会社が紹介する会社から大規模修繕に関する話を聞く機会もありました。けれど、それは通り一遍のもので、あまりピンと来ませんでした。その会社の宣伝色が強かったからだと思います。

近藤:その点は、協力してくれた会社にもしっかりとお願いをしていました。時間も限られていましたし、会社の宣伝はなしにしてもらいたい、と。いい会社を紹介するのではなく、いい情報を皆さんに紹介して、知識を高め、不安を顕在化させるということが目的でしたから。

協力してくれた会社も、今回のようなワークショップに慣れているわけではありませんでしたから、多少は戸惑いもあったと思います。でも、こうした啓蒙的なことは今後業界的にも広めていくべきことだと感じています。