事例紹介

実績ドキュメンタリー(sハイツ)

誰もがうらやむ好立地のマンション

東急東横線中目黒駅から徒歩7分。Sハイツはそんな好立地にある、1968年築のマンションです。毎年の「住みたい街ランキング」で必ず5指に入るほど人気の街ですから、築47年(取材当時)ながらも全108戸はすべて満室。単身向けの1DKということもあり、投資物件として運用している区分所有者が全体の半分近くを占めています。

そんなめぐまれた環境のマンションに、衝撃が走る事故がありました。排水管の一部が破損し、汚水が廊下に流れ込み、一部の住戸内にも浸水してしまったのです。古いマンションですから計画修繕の概念がなく、長期修繕計画もありません。その上大規模修繕工事は1990年に実施したきり。理事が新メンバーになったことをきっかけに、そろそろ大規模修繕の実施計画を立てようかと思った矢先の出来事でした。ライフラインの突発的な事故ですから、復旧工事に相当の費用と労力を費やしました。

管理会社と管理委託契約を結んでいたもののほぼ機能しておらず、修繕積立金の徴収もままならない状態。工事費用は修繕積立金では到底まかなえず、区分所有者からの一時金で補填しても足りず、残金は施工会社に分割で返済することに・・。そんな大事故を経て、管理組合のなかで再び大規模修繕工事の計画に着手しはじめたのは2014年のことでした。

一向に進まない工事準備、確実に進む建物の劣化

Sハイツの大規模修繕工事は、理事が中心となって推し進められました。発注方式は現在主流となっている設計監理方式とし、理事会メンバーが手分けをしてコンサルタント会社を当たっていきました。ところが、現場視察後に見積を依頼しても、どのコンサルタント会社からも断られてしまい、にっちもさっちもいかない状態に・・。
「いま思うと、やっぱりうちのマンションにお金がなかったから、相手にされなかったのだと思います」(T理事長)。年内に着工するはずだった計画は、どんどんずれ込んでいきました。

業を煮やした理事会は、やみくもに施工会社からマンションという冠のつくNPOや財団法人に手当たり次第にアポイントを取り始めました。そのひとつが彩の国マンション管理センターだったのです。担当Kが初めて目の当たりにしたSハイツは、躯体そのものの損傷に加え、タイルは剥落し、塗膜は剥がれ、鉄部は錆だらけ。下地補修や防水工事で40年もの実績がある会社からも「ここまでひどいマンションは見たことがない」というほど劣化が進行していたそうです。

「手間ひまや損得うんぬんよりも、この建物をなんとかしたいという衝動にかられました」(彩の国マンション管理センター 担当K)