「管理費が値上がりした」「修繕積立金が高い」「そもそも対応が悪い」。
そんな不満が積もりに積もって、「よし、管理会社を変更しよう」と意気込むのはいいのですが、ちょっと待ってください!
いまの状態で、管理会社を変更しても、元の木阿弥かもしれません。管理会社を見直す場合、まずは「管理委託契約書」の内容を確認しましょう。
どれも「はい」とはっきり答えられるのが当たり前の項目ですが、契約を更新する場合、理事長にだけ契約書を交付すればいいことになっているので、そのときの理事長が契約内容をよく確認しないまま更新してしまったり、変更があっても契約書は元のままというケースもあるので要注意です。
できれば、国土交通省が公表している「標準管理委託契約書」を参考しながら、いまの管理委託契約書をチェックすることをおすすめします。管理委託契約書と合わせてチェックしたいのが「重要事項説明書」。
管理会社が管理組合と契約を結んだり更新する場合は、この重要事項説明書をマンションの所有者全員に配り、説明会を開くことが原則となっています。
説明会で話があったことでも、書類に記載がなければいった・いわないの水掛け論になってしまうので、必ず確認しましょう。
上記のほか、さまざまな管理業務の内容について実施日や時間、人数などまで細かく説明する管理会社は、信頼に値すると思います。
複数の管理会社に見積を依頼した経験がある方はご存知だと思いますが、管理会社が提供するサービスは、管理員派遣、清掃業務や設備点検・検査であったりと、項目ひとつひとつを見てもあまり差がありません。
管理組合にとって、いい管理会社と悪い管理会社の判断は、フロントマンのスキルによるところが大きいもの。同じ管理会社の中でも、フロントマンのスキルに差があり、うるさ型の管理組合にはスキルの高いフロントマンを、おとなしい管理組合には2番手以降のフロントマンをつける傾向があります。
管理会社にかぎらず、どこの会社も同じですね。管理会社そのものを見直す前に、まずはフロントマンを変えてもらうよう打診するのもひとつの手です。
それでも、見直しをするのなら・・
マンション管理業者として登録されている企業は、平成24年の時点で2252社もあり、それぞれの生い立ちやバックボーンをみると、強みや注意点など一定の傾向があります。
それぞれの傾向を知っておくことは、管理会社を判断するひとつの参考になりますが、結局は会社によってそれぞれ違いがあり、どこがいいか悪いかは、なかなか一概にはいえません。
国土交通省の調査によると、マンション管理会社の見直しは、管理規約や細則関係、法令の解釈などと並び「第三者に関与を求めた(求めたい)と思ったトラブル」に挙げられています。
また、「関与を求めた(求める)第三者の属性」については、私たちのような、マンション管理専門の第三者機関が約6割となっています。
出典:平成18年 国土交通省調査資料
分譲マンションの歴史がまだ浅いこともあり、利害関係のない中立的で専門的な知識を備えた第三者の適切な関与を求める声が、より多くなってきております。