管理組合のハウツー

管理組合と管理組合法人

管理組合の設立は義務?

分譲マンションには専有部と共用部があるということは、もうみなさんご存知だと思いますが、マンションに共用部があることで、ひとつの建物に対する権利を複数人で共有しているということになります。

するとこの権利を維持管理していくためには、所有者全員が意思統一することがどうしても必要になります。

区分所有法では「区分所有者は全員で、建物並びにその敷地及び付属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところににより集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」と規定しています。

このように、区分所有者が管理組合を設計することは法律上の義務であり、ことさらに「管理組合を結成します!」といった宣言をしなくても、複数の区分所有者が集まった時点で自然に結成されることになります。また、管理組合の設立に反対する人がいたとしても、決まりなので問題になりません。

管理組合理事の役員になったり、事務管理が必要になったりと面倒なことが増えます。ですが、分譲マンションの区分所有者となった以上、建物に対する所有権を他の区分所有者と共有しているという自覚を持ち、建物の維持管理のために管理組合運営に積極的に参加するべきでしょう。

管理組合の法人化「管理組合法人」って?

19_01

19_02

管理組合法人として登記している管理組合は12.0%、築年が経過しているほど法人化率が高くなる傾向にあります。総戸数規模別では、151〜200戸が16.8%ともっとも高く、ついで「101〜150戸」が15.0%、「76〜100戸」が14.2%となっています。

管理組合を法人化しなくとも、ほぼ法人と変わらない実態を備えているので、たとえば理事長名で契約を結んだり、管理規約や総会を根拠に理事会などの代表者が裁判の当事者になることができます。また、共用部の修繕のために融資を申し込む場合なども法人の扱いと変わりません。

では、法人化すると何が変わるのでしょう?上げてみると以下のようなものがあります。

管理組合法人の名で不動産を取得し、登記することができる

法人化していない管理組合が駐車場や管理室、集会室などを所有したり、建物内の空き室を取得する場合、理事長の個人名義で登記簿に記載しなければなりません。

法人化することで、不動産所有者として登記簿に法人名義で登記することが可能になり、理事長が代わるたびに登記変更をおこなわずに済み、権利関係も明確になります。

民事訴訟上の当事者になるため、訴訟の手続きが簡便になる

管理費滞納や立退交渉など、管理組合と居住者間のトラブルは常に起こりえます。最終的に法的処置をとるような場合に、法人化していない場合は理事長が原告となります。

法人化することで、原告は「○○マンション管理組合法人」となり、調停や訴訟等の法的措置の実行がよりスムーズにできるようになります。また、理事長が交代した場合に、訴訟手続きが煩雑になったり訴訟中断の事態を避けることができます。

金融機関から融資を受けやすくなる

大規模修繕の費用などを金融機関から借入をする場合、法人格を備えていた方が融資を受けやすくなります。実際、資金借り入れを機会に法人化するケースが多く見られます。

法人化することで、管理組合法人の財産と、区分所有者の個人財産との区別が明確になりますが、マンションの運営が激変するわけではありません。

ですが、トラブル発生の頻度や建物内の空き室の取得など、今後ありえるケースを想定しながら管理組合内で議論して結論を出す必要があります。