管理組合のハウツー

管理規約の見直し方

マンションの管理規約とは

管理規約は、マンションの管理運営についての基本的なルールを定めたものです。専有部と共有部それぞれの範囲や管理組合の運営、理事会や役員に関すること、総会の議決権の考え方や決議の方法などが示されています。

たいていのマンションは、新築時に分譲会社が作成した管理規約を運用していることが多く、その内容は国土交通省が作成している「マンション標準管理規約」を参考にしています。しかし国土交通省が発表しているマンション標準管理規約は、定期的に改定されているにもかかわらず、実際に運用されている管理規約は新築時から一度も見直されることがない、ケースがしばしば見受けられます。

新築時の管理規約のままでは、時代とともに変わる生活様式に対応できず、マンション内で快適な生活が送れなくなってきていたり、あいまいな規定で混乱をきたし、管理組合運営に支障が出てくることもあります。最新のマンション標準管理規約と、関連する区分所有法やマンション管理適正化法、マンション建替え円滑化法も併せて確認し、定期的に見直すことをおすすめします。

なお、生活の細かいルールについては別途「使用細則」に記載されていますので、管理規約とセットで見直すことが前提です。

管理規約の見直しフロー

理事会で意見交換

まずは理事会のなかで、現在の管理規約と使用細則をチェックします。このまま運用していった場合に発生する問題や不備を挙げ、改正の必要性を明確にしていきます。

区分所有者への広報

早い段階で、理事会が見直しに向けて活動していることや改定の必要性、改正することで得られるメリットを区分所有者に広報します。これ以降、進捗があった時点でこまめに広報することが総会での合意をスムーズにします。

体制づくり

規約改正は、管理組合にとって非常に重要な問題であり、そのぶん時間もかかります。1〜2年程度の理事の任期を越えてしまうことが予想できますので、規約改正の専門委員会を設置することをおすすめします。

なお、専門委員会を立ち上げる場合は、大規模修繕の専門委員会「修繕委員会」と同様、5〜7人程度で構成し、そのうち1〜2人は理事と兼任してもらうのがよいとされています。

改正案の作成

いまの管理規約の問題点を洗い出し、変更項目をピックアップします。具体的な改定案は、国土交通省が出している「マンション標準管理規約」をもとに委員会や理事会改正内容を決め、区分所有者にアンケートをおこなうなどしてまとめ上げます。

この過程で大切なのは「区分所有法」「マンション管理適正化法」「マンション建替え円滑化法」などの法律との整合性で、法律と照らし合わせながら改正作業を進めていくことです。

法律がからんでくると、さすがに委員会や理事ではたちうちできず、諦めてしまう組合も少なくありませんが、身近な管理会社やマンション管理士などの専門家をうまく活用してみてください。

説明会の開催

改定案がまとまったら、区分所有者に向けての説明会を開催し、改定の主旨やポイント、改定後の影響範囲などをわかりやすく説明します。
また、説明会に出られなかった区分所有者に対しては、説明会の議事録や改正案をまとめて配布したり、掲示板に掲示するなどで十分に広報しておくことが大切です。

理事会の最終審議、総会決議

理事会で最終審議を経て、総会の特別決議(議決権の3/4以上)で可決すれば、新しい管理規約が成立します。

新しい管理規約の運用開始

新しい管理規約の原本を保管し、写しを冊子(規定集)にして区分所有者に配布します。併せて、原本の保管場所を掲示します。

使用細則の見直し

使用細則も新しい管理規約に沿って整合性をはかります。

適正な管理規約の作成や役員の負担軽減のために

管理規約の見直しは、大規模修繕工事の実施と同様、管理組合にとってもっとも大きな事業のひとつといえます。とりわけ、法律との整合性をはかりながら改定を進めていくわけですから、法の知識や解釈、専門用語への理解が不可欠です。また、ふだんの仕事をこなしながら改正に向けて取り組む理事や専門委員会の負担も考えると、専門家の活用を検討してみるのもひとつの手です。

マンション管理士が在籍する当センターは、ご相談無料。「管理規約を見直したい」「見直しを進めてきたがどうすればいいかわからない」など、どんな状況でも大丈夫です。どうぞお気軽にお問い合わせください。