事例紹介

実績ドキュメンタリー(sハイツ)

管理組合にとっての一大イベント、施工会社の選定へ

担当Kは、Sハイツ大規模修繕工事のコンサルタントとして、施工会社を選ぶための事前書類「工事仕様書」と「見積要綱書」の準備にとりかかりました。工事仕様書は、修繕すべき箇所をどのような方法で修繕するかを示した書類で、見積要綱書は、施工会社が見積書を提出するにあたっての条件をまとめた書類です。ここで、またも問題が浮上しました。躯体から張り出した1F店舗部分の屋根が、足場架設を難しくさせていたのです。「ゴンドラにしてしまえば話は早かったのですが、費用面はもちろん、躯体強度のことを考えると安全面に不安が残りました。足場架設のプロに相談しながら、足場全体の強度を計算し、図面を起こし、仕様書に含めました」(彩の国マンション管理センター 担当K)。

また、一刻も早い着工が望まれるため「2015年内に着工できること」、一定の管理体制・施工品質の確保のため「現場代理人は正社員であること」を条件に盛り込みました。そして、施工会社の候補は管理組合からの推薦とし、5社に見積提出とヒアリング参加を依頼しました。
施工会社の選定は、管理組合にとっての一大イベント。通常コンサルタントは、ヒアリングに立ち会い、自身が持った印象を含めて比較表に落とし込みます。ですが、担当Kは比較ポイントや代理人への質問項目を理事に伝えるだけで、ヒアリングには立ち会いませんでした。

「ヒアリングに立ち会ってしまうと、管理体制や品質とは関係のない部分、いわばフィーリングで判断してしまうことにつながりかねません。彩の国マンション管理センターでは、理事さんから依頼があった場合を除いて、原則ヒアリングには立ち会わず、アドバイスのみにとどめています。常に公平で公正な機関であるためです。また、Sハイツの場合、融資を受けられるといっても費用にゆとりがあるわけではないので、低価格の会社を選びたいところでした。ですが、最重要ポイントは、費用ではなく傷みきった躯体をしっかり補修できる会社であることとしました」(彩の国マンション管理センター 担当K)。

選定ポイントは「損傷の多い躯体をどのように対処していくか」「仕様書には記載されていないが、施工会社の観点で必要と考えられる工事の提案」とし、理事たちはヒアリングに臨みました。結果、価格こそ3番目ながら「代理人の質問に対する返答が的確」「玄関扉交換の工事提案に納得感がある」という理由で、T社が選ばれました。

第三者機関を活用した品質管理体制

管理組合が自ら選定した施工会社ですが、すべての工程をひとつの組織に任せると、どうしても心のゆるみが品質に反映されてしまうのが建設工事。できれば外部の目を入れ、仕様書どおりに工事が進んでいるか、品質基準をクリアしているかをチェックしたい・・。でも、それには費用がかかります。そこで担当KがSハイツ管理組合に提案したのは、工事監理と竣工検査だけを請け負ってくれる第三者機関の導入でした。

「導入したR機構は、主だっては施工職人の技術向上を目的とした組織ですが、1級建築士や資材メーカーが中心となって活動していることもあり、お願いすれば担当してくれるのではないか、と考えました。固定観念にとらわれず、思い切って相談してみて本当によかったです」(彩の国マンション管理センター 担当K)。