事例紹介

実績ドキュメンタリー(sハイツ)

積立金200万円からの出発

声をかけてきたのは、前期まで理事を務めていた区分所有者さんでした。「わたしたちのマンションは、計画修繕の考えもないどころか、月々の収支を把握することもしていませんでした。排水管のことがあってからは、とにかく建物のこと、将来のことが心配になりましたが、その前に先立つものがないという大きな不安があったんです」。担当Kは、管理室に保管されている書類から修繕積立金の残高、月々の収入出費を確認することからはじめました。排水管の復旧工事が大きく影響し、修繕積立金の残高は200万。その上、排水管復旧工事の施工会社への支払いも残っていました。

計画的に修繕をおこなっているマンションでも、大規模修繕に必要な費用は戸あたり90~110万円はかかるといわれている昨今、積立金200万・戸あたり約1万8千円では、大規模修繕工事にはとてもこぎつけない―。「目視調査の結果と概算の積算結果から大規模修繕をおこなうために必要な費用を割り出すと、優に1億を超える金額でした。排水管復旧工事で区分所有者から一次徴収した経緯もあり、もはや融資に頼るしか方法がありませんでした」(彩の国マンション管理センター 担当K)。

法人格のない管理組合が融資を受けるには、管理規約に定める内容や修繕積立金の積立状況についてなど一定の条件を満たす必要があります。つきつけられた条件は厳しいものでしたが、めぐまれた立地を武器に粘り強い交渉を続け、2社の民間ファイナンス会社から融資可能の回答を得られました。融資可能の結果を知らされた区分所有者は沸き立ちました。というのも管理会社からは「融資を受けるのはムリ」と聞かされていたから、喜びもひとしおだったのです。

「大規模修繕工事がいよいよ現実のものとなり、いままでバラバラだった管理組合が少しづつまとまり始めたように思います。同時に、彩の国マンション管理センターさんへの期待が高まり、このままコンサルタントとして竣工まで見守ってほしいという声が多数上がりました」(T理事長)。