大規模修繕のAtoZ

建物診断とチェックポイント

防水の調査診断

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建物内には、おもに屋上や各戸のバルコニーに防水処理が施されています。まずは工事履歴を確認したり、居住者アンケートを実施して、漏水の原因となる箇所を想定した上で入念に調査をおこないます。

防水には、工法や使用する資材によって診断・調査方法や確認すべきポイントが異なります。また、排水口まわりや防水層の立ち上がり部分、突起物まわりも入念に調査します。

タイル部の調査診断

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タイル部の劣化は、美観を損ねるだけでなく、躯体そのものの劣化を早めてしまいます。また、最悪の場合、タイルが落下し、居住者や通行人にけがをさせてしまうことも考えられます。

劣化には浮きや剥離があり、タイル同士のつなぎ目などから雨水が入り込み、モルタルや接着剤の劣化していることが挙げられます。

まずは目視でひび割れや退色を確認した上で、タイル部を打診棒(テストハンマー)で叩き、その時の音で浮きや剥離を調査する「打診調査」をおこないます。

打診調査のほか、タイル部に赤外線をあてて劣化部分を調べる機器を用いたり、タイル引張り試験機によってタイルの付着力を調査する方法もあります。

コンクリートの調査診断

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コンクリートの劣化は、躯体そのものの強度や寿命にかかわる重要な項目で、どの箇所がどのくらいの度合いでひび割れを起こしているかを正確に把握する必要があります。

ひび割れは、コンクリートの収縮や、内部にある鉄筋の錆が起因となった膨張、モルタルの剥離などが原因で起こります。

また、コンクリートの成分は、鉄筋の酸化を妨げるアルカリ性ですが、空気中の二酸化炭素や酸性雨などの影響で、経年とともにしだいに中性に傾いていきます。

そのため、外壁の一部を取り出し、試薬反応を見て中性化深度を調べる「コンクリート中性化試験」をおこなうこともあります。

鉄部塗装の調査診断


鉄部塗装の耐用年数は3〜5年と短く、修繕周期も短くなるため、こまめに調査診断をおこなう必要があります。目視や触診で表面の錆やはがれを確認するほか、塗装面の引張試験やクロスカット試験などをおこなう場合もあります。

電気設備

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照明器具や変電施設、配管などの電気設備は、外観は目視で確認できますが、性質そのものについては絶縁や接地の抵抗測定が必要となります。

また、近年では共用部にかかる電気コストをカットする目的で、LED照明に切り替える管理組合も増えています。

駐車施設・外構など

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屋外駐車場や植栽などは日常の点検や管理を通じて状況を確認することができるため、不具合が発生した際に補修をしている管理組合がほとんどです。大規模修繕工事に組み込む場合、駐車スペースのライン引きや、機械式駐車場の鉄部塗装などをおこないます。

給排水設備の調査診断

給水管や排水管などの給排水設備は、ライフラインとなる重要な設備です。給排水管の太陽年数は20〜30年ですが、取替工事費はかなり高額になります。配管の劣化は、管内部の状況を確認する必要があり、内視鏡検査や超音波検査、X線検査などさまざまな機器を用いておこないます。