特集

管理会社の見直し

まずは「管理委託契約書」「重要事項説明書」をチェック

「管理費が値上がりした」「修繕積立金が高い」「そもそも対応が悪い」。
そんな不満が積もりに積もって、「よし、管理会社を変更しよう」と意気込むのはいいのですが、ちょっと待ってください!

いまの状態で、管理会社を変更しても、元の木阿弥かもしれません。管理会社を見直す場合、まずは「管理委託契約書」の内容を確認しましょう。

  • 管理業務の具体的内容や掃除・点検などの仕様について定められているか
  • 定額委託業務費の内訳が明記されているか
  • 組合員の銭湯部分の売却にともない宅地建物取引業者への対応について定められているか
  • 契約解除・更新・有効期限についての定めがあるか
  • 免責事項の範囲、内容は合理的か

どれも「はい」とはっきり答えられるのが当たり前の項目ですが、契約を更新する場合、理事長にだけ契約書を交付すればいいことになっているので、そのときの理事長が契約内容をよく確認しないまま更新してしまったり、変更があっても契約書は元のままというケースもあるので要注意です。

できれば、国土交通省が公表している「標準管理委託契約書」を参考しながら、いまの管理委託契約書をチェックすることをおすすめします。管理委託契約書と合わせてチェックしたいのが「重要事項説明書」

管理会社が管理組合と契約を結んだり更新する場合は、この重要事項説明書をマンションの所有者全員に配り、説明会を開くことが原則となっています。

説明会で話があったことでも、書類に記載がなければいった・いわないの水掛け論になってしまうので、必ず確認しましょう。

  • 管理業務の実施日時や担当者の人数などが詳細に記載されているか
  • 管理委託費以外の費用について記載があり、内訳と支払時期も併記されているか
  • 保守点検や法定点検費用が実費精算払いになっているか
  • 管理費などの収納が「原則方式」以外の場合、保証契約の記載があるか
  • 長期修繕計画案の作成・更新とその費用負担の有無について記載があるか
  • 建物診断は別途費用がかかる場合があることについて記載があるか
  • 少なくとも3ヶ月前に書面で申し入れすれば、解約できることが明記されているか

上記のほか、さまざまな管理業務の内容について実施日や時間、人数などまで細かく説明する管理会社は、信頼に値すると思います。

マンション管理は担当者で変わることも

複数の管理会社に見積を依頼した経験がある方はご存知だと思いますが、管理会社が提供するサービスは、管理員派遣、清掃業務や設備点検・検査であったりと、項目ひとつひとつを見てもあまり差がありません。

管理組合にとって、いい管理会社と悪い管理会社の判断は、フロントマンのスキルによるところが大きいもの。同じ管理会社の中でも、フロントマンのスキルに差があり、うるさ型の管理組合にはスキルの高いフロントマンを、おとなしい管理組合には2番手以降のフロントマンをつける傾向があります。

管理会社にかぎらず、どこの会社も同じですね。管理会社そのものを見直す前に、まずはフロントマンを変えてもらうよう打診するのもひとつの手です。

それでも、見直しをするのなら・・

マンション管理業者として登録されている企業は、平成24年の時点で2252社もあり、それぞれの生い立ちやバックボーンをみると、強みや注意点など一定の傾向があります。

デベロッパー系

  • 大手企業が多く、親会社が販売したマンションの管理業務を担当
  • 設計や建設に関する情報が入手しやすい
  • 親会社の意向に左右され、利益を優先しがちな面もある

ゼネコン系

  • 親会社が施工したマンションの管理業務を担当
  • 設計や建設に関する情報が入手しやすい
  • 親会社の意向に左右され、利益を優先しがちな面もある

独立系

  • サービス費用が比較的低価格
  • 親会社や関連会社のしがらみがなく、中立的な立場
  • サービス費用を安くしている分、修繕などの工事で収益を上げようとしているところもある

ビルメンテナンス系

  • 清掃や建物・設備保守などの経験が豊富
  • 建築や設備関係の有資格者が多い
  • 管理組合運営など、マンションごとの個別事情の対応に不慣れなことがある

それぞれの傾向を知っておくことは、管理会社を判断するひとつの参考になりますが、結局は会社によってそれぞれ違いがあり、どこがいいか悪いかは、なかなか一概にはいえません。

国土交通省の調査によると、マンション管理会社の見直しは、管理規約や細則関係、法令の解釈などと並び「第三者に関与を求めた(求めたい)と思ったトラブル」に挙げられています。

また、「関与を求めた(求める)第三者の属性」については、私たちのような、マンション管理専門の第三者機関が約6割となっています。

shiryo 出典:平成18年 国土交通省調査資料

分譲マンションの歴史がまだ浅いこともあり、利害関係のない中立的で専門的な知識を備えた第三者の適切な関与を求める声が、より多くなってきております。